平成21年4月より高浜市観光協会会長に選任されました石川伸と申します。㈱おとうふ工房いしかわ(豊田町)の代表取締役 であり、公職として高浜市商工会の副会長も務めさせていただいております。このたびの事業仕分けの件で、市民の皆様からも辛辣な意見を頂いたことにより、 更なる価値の追求を行ないたいと思います。昨年度就任したときに、本協会の総会の挨拶で述べたことが、実は今回の事業仕分の指摘部分と重なることが多く、 市民の皆様の意見にうなずける点があると感じています。何よりも、正しい情報がちゃんと伝わっていないことが、残念です。しかしながら、私も就任までは、 本協会の存在さえ知りませんでした。そんなレベルの歴史かもしれませんし、事実でもあります。
ちょうどいい機会なので、私の高浜における観光行政のあり方について私的意見を述べさせていただきます。先ず一番が「市民 による市民のまちづくり」が、基本です。私の高浜市の観光行政は、県が進めているような産業観光でなく、物見観光でもないものを考えます。故に、観光協会 として市に求めるものは、存在環境であり認知の部分でもあります。高浜市は、財政緊迫ということで観光協会事業は、圧縮を求められ本年度は、290万円の 事業費でした。(参考:隣接刈谷市は8500万円です。)事業仕分では、「こんなに少なくて何が出るという」という発言に嘲笑さえありました。(その通り です。)観光協会の本来の姿は、協議会としての機能であり市民のボランティアが中心となったものとすべきだと考えています。イベントの予算は、要りませ ん。しかしながら、観光協会の事務所は無く、専従の職員もいません。就任時から申し上げていたことですが、「市内外の方に情報を提供する場所も道具も予算 もありません」多くの人が集まりやすい環境を作るためにも、議会、行政に理解を求めるつもりです。本年度は、県に上納する会費(全体の10%以上)までも 値下げ交渉をして、コストダウンを図りました。基本は、自主運営観光行政です。
高浜は、観光資源がないという声を良く聞きます。本当に無いのでしょうか。確かに風光明美な場所もなく、歴史的建造物や TVに出てくるうようなところも少ないです。しかしながらもっと自分達のまちを見直せば、いいものがたくさん落ちているはずです。ただ、気が付かないだけ なのではないでしょうか。今の高浜の観光レベルならば、先ずいい生活環境のまちづくりです。私が考える高浜に必要な観光は、「自慢できるまち高浜」です。 日本を代表する観光都市「京都」は、住民が、自分のまちに誇りを持っていることが、ポイントです。そのために多くの人の意見を伺うことで高浜の自慢すべき ところ(誇り)を探すことです。そして私が、就任して先ずしたことは、偏った構成の理事会の改善のために市内の各種団体に参画を呼びかけました。「吉浜人 形小路」「おまんと保存会」「高浜市商工会」などがその事例です。今回の事業仕分で指摘された点の「鬼みちまつりに偏った組織」といわれても仕方ありませ ん。その通りだったのですから・・・
そこに通じる件ですが、昨年は、かねてから案件があった鬼みちマップ(作成予算60万)を一旦白紙に戻し、市内全域をカ バーするマップ作りに切り替えました。当然予算不足のために高浜市商工会の周年事業とタイアップしたもの(32ページ)で、本年度9月に市内全戸配布 (15,000部)と市内外のPRイベントに使用できるように(15,000部)30,000部を作成している最中です。編集は、観光協会の会員から委員 会を作り、高浜市が策定したウォーキングタウン「鬼の道」「川の道」「海の道」をベースにした高浜全体の価値を探し出した物になる予定です。商工会と組む ことによって市内の鬼瓦製造業者の市内外の展示会や新しい産業や名物の発見の可能性を求めました。
更に本年度は、鬼みちまつりの実行委員会の改革に乗り出しました。それは、事務局に権限が集中する仕組みであった「鬼あか り作業部会」と事務局のみの組織から、「鬼あかり作業部会」「イベント部会」「ブース部会」「統括部会」に分割し、予算や事業内容等を拮抗的な働きをもっ てクリエイティブな企画ができるような組織に改めました。この鬼みちまつりは、市内全校の小学5.6年生と幼稚園保育園、一般市民が参加するイベントであ り、骨子として鬼あかりのキャンドル製作は継続したいと考えます。次年度からは、実行委員会の組織を新規の団体や町内会の参加を促し、より市民に近いもの としたいと思います。同時に、いきいき広場まつりや人形小路まつりを同時開催し、前述のウォーキングの町のイメージ作りにしたいと思います。これらの運営 のためにNPOたかはまスポーツクラブや学校、諸団体を巻き込んだ市民イベントにしたいと思います。
本年度、高浜市商工会の事業として「高浜市日本とりめし学会」が発足しました。観光協会としても名物料理による町おこしに 対しても支援をしていくつもりです。今年の6月18日の市内小中学校、幼稚園保育園の一部は、いっせいにとりめしを食べました。これらの「高浜市こども食 育推進協議会」の事業もタイアップし、ゆるきゃらの「カワラッキー」を使ったもの等の新しい観光資源を作っていくことも進めていきます。大事なことは、無 いから何もしないのではなく、探して磨き上げることをしなければなりません。とりめしの話を市内の各種会合ですると皆さん時間を忘れて喧々諤々の場となる ことは、多分観光資源として価値があるのでしょう。観光協会は、きっかけ作りのお手伝いであり情報を多くの人に知ってもらうことでしょう。本年度は、情報 提供を活性化するためにコンサルタントの方や出版、広告代理店も会費をいただいて参画してもらっています。
観光協会の改革方法論は、いかようにも考えられます。半田市を初めとした観光協会は、市からの委託を受けた民間団体 (NPO)で運営しています。こういった形も良いでしょう。協議会的な組織にして、イベントは切り離すことも良いでしょう。まち協に委ねることも良いで しょう。大切なことは、多くの方の意見を集めながら、高浜らしい観光協会を作っていくことだと思います。高浜らしさは、13キロ平方メートルの小さな面積 と45,000人の人口の少なさです。それゆえに情報の共有のしやすさを、広報やHP等の情報媒体を通じて情報発信をさらに行なうべきだと思います。住民 みんなが、「大好きなまち 高浜」を語れる日まで。そして子ども達や更にその先の子ども達のために。
ある意味、今回の事業仕分を通じて「高浜市観光協会」に光が当ったことは、うれしい限りです。残りの任期の間にできることは少ないですが、確実に変革を進めていくことをお伝えします。
これからも高浜市の観光行政にご理解と協力をお願いいたします。
高浜市観光協会会長 石川 伸